寒冷時における心得

 冬季には、VWならではの特徴が二つあります。
 空冷エンジンとヒーターです。冬には何処に駐車していてもご心配ご無用です。どんなに寒くても一発でエンジンがかかり、エンジンが暖まるにつれて、車内には暖かい空気が流れ込みます。

ヒーター
 冬季には最大限ご利用下さい。お足許の暖機放出口よりより導入される暖気量はご希望に従って調節できます。
 フロントシートび中間の2本のレバーの中、右側のレバーは、ヒータースイッチで、左側のレバーは、リアシート下側の放出口用コントロールレバーです。フロントシート用の床面放出口は、ハッチをスライドさせる事により放出量を調節出来ます。
 低温時の始動の場合、最初は、リアシート用の放出口は閉じておいた方が、ウインドシールドへのエアの供給量が多くなり、湿度が多くて、人いきれ等の為に、なりがちなガラスの曇りを防止出来ます。ウインドシールドの曇りが取れましたら、リアシート用の放出口を開いてください。その方が、車内が平均に、しかも早く暖まります。
 ヒーターを効かせる場合、ベントウィング(三角窓)を若干開いた方が早く効果があがります。それはヒーター装置により、車内の冷気を早く追い出し易いからです。
 どんな場合でも、冬季には、リアウインド下の空気取入孔を塞がないでください。エンジンの冷却の為にも、又キャブレターの為にも、多量の新鮮な空気が必要なのです。

エンジンオイル
 通常の場合には、SAE20W/20のオイルで大丈夫ですが、氷点以下に温度が下がりますと、どうしてもオイルが固くなり、始動の際にはご不便をお感じになるでしょう。気温の低下が予想される場合には、オイル交換の時には、あらかじめ、SAE10W、もしくは、SAE10W-30のオイルに入れ替えておきましょう。
 冬季主に短距離しか運転しない場合、オイル交換は、より頻繁に行ってください。(例えば2500km毎)オイルは、その場合、軽いめのHDオイル(ヘビーデューティーオイル)をご使用ください。適正なオイル交換の周期はVW取り扱い店にご相談ください。
 気温の非常に低い地域では(-25℃以下)少なくとも、SAE5Wのものをご使用ください。又、オイル交換の時期は、1250kmが適当です。

トランスミッションオイル
 大抵の場合にはSAE90が使用されます。
 極地方等の非常に寒い地方では、粘度の薄いSAE80位のものと取り替えてください。

シャーシ
 冬季には、特に露出部分は、痛みが激しいものです。殊に道路氷結防止に薬剤を使用致しますが、それらの薬剤は、車体、特に塗装には悪影響を及ぼします。
 

バッテリー
 冬季には、スターターやヘッドライトの電力消費量が大きい為、特に気をつける必要があります。気温が下がってくれば、当然バッテリーの働きは、にぶくなるものですが、走っても主に短距離とか、市街地のみに限定されるような場合には、時々バッテリーチャージを行ってください。バッテリーとセルモーター間のケーブル類や、ターミナル類は何時も綺麗にしておきましょう。
 

スパークプラグ
 冬季には、特にプラグのギャップを開けすぎないように注意してください。通常の場合には0.7mmが基準ですが、極寒時には0.4〜0.5mmに狭めると始動時に楽です。

ブレーキ
 露出部分ですから、特に冬季は水沫によるブレーキドラムの凍結を引き起こします。駐車する際には、ハンドブレーキはかけないで、ギアをローか、リバースに入れてください。

ドアロック
 洗車の際には、ドアロックのシリンダーに水が浸入して凍ることがあります。洗車の前に、鍵穴等にカバーをかける等して水が中に入らない様に、又カバーをかけない時は、ロックに対して直接水を噴きつけない様にする事が先決問題です。もし、ロックが氷結してしまったら、キーを暖めて、ロックシリンダーの中に不凍液を注ぎ込めば、ロックを作動できます。

タイヤ
 編磨耗したり、磨耗の激しいタイヤは、冬季には特に危険です。適当な時期に新品と取り替えましょう。

(1964年式 1200セダン、コンバーチブルの取り扱い説明書をベースにBUG BOXがアレンジしております)